過敏性腸症候群(IBS)は、原因不明の便通異常と腹痛で苦しむ病気です。
下痢型や便秘型、ガス型、混合型といろいろなタイプがありますが、腸のトラブルが悩みの種であることは共通。
ですからIBSで悩んでいる人は、お腹に良いといわれるヨーグルトや牛乳、オリゴ糖が含まれた食品などをなるべく多く食べてきたのではないでしょうか。
しかし、最近の研究では、従来腸にいいとされてきた食品は過敏性腸症候群の人にはかえって症状悪化の原因になる可能性がある、と指摘されつつあります。
過敏性腸症候群には、ある種類の糖類が低い食事「低FODMAP(フォドマップ)食」が効果があるというのです。
低FODMAP(フォドマップ)食とはある種の糖類を避ける食事療法のこと
低FODMAP(フォドマップ)食とは、発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール類を含む食品を避けることで、腸内環境を整える食事療法。
オリゴ糖を代表とするこれら糖類は、腸内細菌を活発化させるので、普通の人にとっては健康に有効だそうです。
しかし過敏性腸症候群(IBS)の症状がある人には、かえって腸内細菌を活性化させすぎて過剰な発酵や代謝産物を生み出す元となり、下痢や便秘、ガスを誘発させてしまうのだとか。
実際に過敏性腸症候群の人に対して低FODMAP食事療法をしてもらった臨床実験では、約7割の人に症状改善がみられたそうです。
■江田証(2016)「牛乳やヨーグルトが元凶?下痢・便秘等お腹の不調、食事改善で7割の人が解消」
過敏性腸症候群の改善には腸内細菌を増やすのではなく、逆に少し大人しくなってもらったほうが効果が高かったということでしょうか。
具体的な低FODMAP(フォドマップ)食はなかなか大変!
では、低FODMAP(フォドマップ)食は、具体的にどのような食事にすればいいのでしょうか。
低FODMAP食の基本は、特定の食品を摂るのではなく、ある糖類を多く含む食品を避けることです。
・小麦、大麦、アスパラガス、ゴボウ、玉ねぎ、豆類など、オリゴ糖類を多く含む食品。
・はちみつ、りんご、桃など果糖類が多く含まれる食品。
・ソルビトール、キシリトールなど、ポリオール類の甘味料。
・チーズ、納豆、キムチといった発酵食品。
以上の食品を意識的に摂らないように心がけます。
……本当にお腹や健康に良いと言われている食品ばかりですね。
本格的な低FODMAP食事療法をするには、約3週間はこれら食品を断ち、その後少しずつ戻していくそうです。
しかし、現実には実行しにくいですよね。
それこそ入院でもして食事制限されないと難しいと思います。
低FODMAP食を日常生活に取り入れるなら、今までの食事を見なおして、上記の食品を少なくしてみるだけでもいいのではないでしょうか。
過敏性腸症候群改善のために、低FODMAP(フォドマップ)食を試してみよう
過敏性腸症候群(IBS)の改善に有効と思われる低FODMAP(フォドマップ)食。
その内容は今まで便通異常に良いとされてきた食事療法とは逆の考え方でした。
最近の研究で、過敏性腸症候群では腸内環境も普通の状態ではないことが分かりつつあります。
胃腸が普通の状態にある人にとって良い食事療法が、過敏性腸症候群の人にとっても効果的とは限らないということらしいのです。
低FODMAP食は管理が難しい食事療法ですから、参考程度に軽く食品を制限してみるのもいいのではないでしょうか。
低FODMAP食によって、少しでも過敏性腸症候群の症状が改善すれば儲けものですよね。
ただし低FODMAP食は、普通の人にとっては腸内細菌の減少に繋がる食事療法なので、注意が必要らしいです。
無理は禁物ですよ!
完全な低FODMAP食療法をするなら、専門医に相談しましょう。
また、上記したようにある程度食事制限をしたら、2〜3週間を目処に普通の食事に戻してくださいね。
*参考サイト
■江田証(2016)「牛乳やヨーグルトが元凶?下痢・便秘等お腹の不調、食事改善で7割の人が解消」<http://biz-journal.jp/2016/06/post_15404.html>.
■大脇幸志郎(2016)「過敏性腸症候群のために考えられた「低FODMAP食」は効くのか? 」<https://medley.life/news/item/5731a6154c3652fc008b5418>.
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